⑤ソフト会社のオフショアビジネス

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企業の生き残りのための人材育成戦略

⑴プロジェクトマネジャーの場合は、欧米も日本もプロジェクトマネジャーは
プロフェッショナルであることを求められる。

しかし、日本と欧米ではその意味が異なる。
プロフェッショナルはどんなものかと英語辞書を引いてみると・・
“A  professional is a person who is paid to undertake a specialized set of tasks and to complete them for a fee.”
と書いてある。
事前に“契約した仕事”をきっちりこなして“対価として報酬”をもらうのが
「契約型職業人」である。
「契約型職業人」に能力を存分に発揮してもらうには、“プロフェッショナル個人の「責任と権限」を明確にすることが必要になる。
更に人事の面では、終身雇用制度や年功序列ではなく、“雇用の流動性と能力主義”の適用が前提となる。「契約型職業人」は“低コンテキストの企業風土”でのみ力を発揮する。

(2)異文化コミュニケーション能力で中国人とのネットワークを作る。

 中国人と付き合うには「異文化コミュニケーション能力」が重要である。
 どこの国の人でも、仲良くなるには酒を飲んだり、世間話をするのが最良の
 方法である。その時に基本となるのは中国語会話能力である。やはり言葉が
 通じないと、意思疎通ができないので仲良くなれない。中国語学習には
 いくつかの厚い壁がある。日本語と中国語は同じ漢字を使うので似てる点も
 あるが、異なる点の方が多い。
    まず日常会話で使う基本的な動詞が日本語の
 単語と大きく異なる。食べる⇒吃chi 、飲む⇒喝he、見る⇒看kan、
 聞く⇒聴ting、 歩く⇒走zou、と何故か異なるので、筆談が通用しない。
 発音は更に難しい。最初は英語の「abc」である「ボフォモフォ、 bpmf」から
 始まるが、単調で全く面白くもおかしくもなくなかなか根気が続かない。

 中国語にはピンインというものが出てくるがこれも曲者である。中国では
 子供でもできるそうであるが日本人にはその発音が難しい。中国人は
 基本的に口や舌の使い方が異なる。日本人にとって最もむつかしい発音は
 「そり舌音(ch,zh,sh,r)」である。一昔前は「巻き舌音」とも呼ばれていた。
   日本語の発音にはまったく存在しない音のため苦戦することになる。
   実は多くの中国人もこのそり舌音が発音できない人たちがたくさんいるそうだ。
   英語の発音の知識で読んでも中国語にならない。
 私の場合は中国語の発音(ピンイン)が分からないまま挫折している。
 http://www.pmaj.or.jp/online/0810/p2m_kansai.html

 性格や価値観については中国は“様々な民族”から構成されているので
 一言で括るのはむつかしい。
    中国は他民族国家なので、中国だけでもグローバル社会である。
 コンテキストの面から見ると、日本と中国は同じ高コンテキスト文化であるが、
 日本人の性格は集団主義、中国人は個人主義が多い傾向がある。
 米国人は低コンテキストで個人主義で、コミュニケーション能力が必須である。

(3)中国人の生活に入り込み、ビジネスをする能力(現地化力)をつける。

 ビジネスの信頼関係を構築できるのはどんなタイプの人材なのかを考えてみる。
 それは“中国に腰を据えて住みつき、腹を割って交渉が出来る人” である。
 引用が戦前になり古くて申し訳ないが、具体的な名前を挙げると
 “内山完造氏”(1885年-1959年) のような人ではないかと思う。
 内山完造氏の経歴は、大阪の船場で 丁稚奉公の後、裸一貫で中国に渡り、
 “参天堂の大学目薬”の販売で中国全土を歩き回る。
 この“参天堂の大学目薬”の販売で中国全土を歩き回るやり方は、
 現在絶好調の“韓国のサムスンやLG”が新興国で実践しているやり方は
 “参天堂の大学目薬のビジネスモデル”と同じものである。
 日本企業は現地化力で韓国に負けている。
 内山完造氏はその後上海に内山書店を開いて、
 魯迅や郭沫若などの日中文化人と友好を深め、中国の革命運動を援助した
 日中友好の草の根の運動家である。
 詳細は下記のホームページの記述を参照されたい。
 http://www.uchiyama-shoten.co.jp/company/history.html

(4)郷に入れば郷に従えで、“華人・華僑のやり方”を取り入れる

 中国ビジネスのプロフェッショナルである “華僑のビジネス”の本質を
 分析してみる。著作“中国ビジネスのリスク・マネジメント(著者杉田俊明氏)”
 によれば・・・「華人・華僑は豪快に見えても、事業を賭けの対象には
 決してしない。彼らは責任者としての天才的な先見性を持っており、比較的
 正確な事業投資を行っている。そして一度に多大な投資を行うことはなく、
 上手く行けば徐々に追加投資を行うのである。豪快に見えていたとしても、
 大変周到な計画を持って投資しているのである。・・・」。
 これは正に、日本の経営戦略の教科書通りの定石である。中国流ではあるが、
 何か変わった手を打っている訳ではない。石橋を叩いて渡っている。
 しかし、このような華人・華僑のやり方を日本人のビジネスパーソンが
 すぐに真似出来るわけではない。特に“責任者としての天才的な先見性”は
 逆立ちしても真似できない。“華人・華僑のやり方”と“日本人の技術と
 ノウハウ”をミックスしたやり方は検討に値する。

(5)中国ビジネスでのプロフェッショナルとしての豊富な経験を持つ

 中国の現地法人で働く日本人は、通常日本国内では組織の中の歯車の一つであり、
 企業の責任者としての苦労を体験していないことが多い。
 ところが現地法人では急に責任者となり重大な意思決定をする立場になる。
 日本で経営全体のマネジメントの十分な経験がないのに、
 いきなり現地法人で責任者になっても失敗することは目に見えている。
 やはり “豊富な実務経験”が大切である。
 そのために中国への赴任前に、日本で十分な専門の研修”を受講させる必要があるが、
 十分な事前の研修を受けてくる人は少ない。
 日本には“海外職業訓練協会OVTA”や“グローバル人材育成センター”
 のような様々なグローバルビジネスの研修機関がある。
 そのカリキュラム等を活用すべきである。

(6)中国人スタッフの士気を高め、能力を引き出す

 “中国企業と日本企業の合弁”の現地法人では、若くて優秀な中国人スタッフは大勢いる。
 しかし、日系企業は昇進が遅いこと、管理職ポストにつきにくいことから不人気である。
 中国人は士気が高ければ信じられないくらい“頼りになり力を発揮する”が、
 士気が低いと信じられないほど“無気力”になる。
 当たり前のことであるが、意欲や能力のあるものにはドンドン挑戦する機会を与え、
 “やる気や能力”に応じて、給料も昇進も青天井で報われるような
 魅力のある中国流の人事評価制度を整備する必要がある。

 以上のように、中国でIT市場を開拓するには、今までとは異なる発想や
 リストラクチャリングが必要になる。韓国サムスングループが実践していると
 言われているブルーオーシャン戦略(Blue Ocean Strategy)が指摘しているように、  「利益なき血みどろの戦いが繰り広げられる既存の市場を抜け出し、
 競争自体を無意味なものにする未開拓な市場を生み出さないと生き残れない。」・・・
 これが現実である。ともかく地獄である“Red ocean”から脱出しないといけない。

 最後に。
 日中経済は相互依存の補完関係で、日本経済の発展は中国経済の発展に依存している。
 中堅ソフト開発会社の技術やノウハウは中国のIT業界で今後も
 重要な役割を占めてくると思われる。グローバル競争はごく少数の勝者と
 残りの大多数の敗者に別れる。
 そこでは生き残れるかどうかは企業規模は無関係である。
 生き残るには自分の価値を高め、世界から信用される独自の
 経験やスキルに裏打ちされたソフト開発手法を確立しなければいけない。
 中堅ソフト開発会社がグローバルなBPRで脱皮して、中国ビジネスで元気を取り戻し、
 日本の活性化に貢献する日が来るのを期待したい。

 以上

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