投稿 東日本大震災! 内閣に望むこと

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PMAJオンラインジャーナル 平成11年4月号に掲載分http://www.pmaj.or.jp/online/1104/p2m_kansai.html

東日本大震災! この難局にあたり、一国民として内閣に望むこと

3月11日、突然千年に1回あるかないかの規模の東日本大震災が発生した。そして甚大な被害が発生している。心から被災された方々にお見舞い、ならびに震災でお亡くなりになられた方々にお悔やみ申しあげます。

震災後、生き別れや死に別れの惨状をテレビ報道で見ると本当に胸が痛んできます。また福島の原子力発電所トラブルも一進一退で推移しており、ハラハラドキドキして私の血圧や血糖値もそれに連動して上下している状況です。

先日、天皇陛下によるビデオメッセージが流され、「原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切に願っています」とのお言葉を頂きました。

このような国難であるが、ここでP2M的に【 ありのままの姿 】と【 あるべき姿 】を考えてみたい。

【 内閣のありのままの姿:現状 】は、政府の中で長時間の議論を重ねるばかりで、いまだ有効な対策を打ち出せていない。役割が曖昧、かつ責任と権限が不明確のままで、原子力発電所のトラブル、被災者支援と災害復興をずっとやるつもりなのだろうか? 心配なのは国民、官僚、野党、与党内等のステークホルダーに対して、利害対立を避けるのではなく、強いリーダーシップをもって前向きに対処する意思の有無である。このままでは日が経つにつれて、理性をもって冷静に我慢しながら行動してきた国民も、不満や愚痴がだんだん高まって来るだろう。
 【 内閣のあるべき姿 】は、ここは国家の重大な危機であり、既存の仕組みを超えて顧客である国民に資する判断を下し、“プロジェクト体制”を即座に構築すべきである。今は “平常時” ではなく、“緊急時もしくは 非常時”なのだから、現状の平常時の組織のままでは、とてもこの国難には対応できない。内閣はこのことを国民に率直に納得させて、その使命達成のためにその“決死の覚悟の姿勢”を国民、特に被災者の方々に直接訴えるべきである。

今回の「地震・津波の災害」や「原子力発電所のトラブル」は想像以上に‘大規模・複雑・不確実’なものである。それに膨大な人数の被災者の日常生活に密接に関係している事柄なので、精神的にもデリケートな対応も必要となる。また利害関係が複雑な膨大な数のステークホルダー間の調整も大変難しい。

今後事態の変化に応じた様々なプロジェクトやプログラムが立ち上げられると思われる。この超難題のプログラムを解決するプログラムマネジャーの資質を冷静に分析し、この難題を引き受けてくれるミッション志向(使命達成型)のプログラムマネジャーとなる人材を任命すべきである。同時に、 内閣は今すぐにでも、兼任ではなく、専任で取り組む強力なリーダーシップを持つ組織を立ち上げることがまず第一に必要である。日本には金はなくても、この難問を解決するための“潜在能力や英知”はある。

現在の日本状況は1000兆円に達しそうな借金をしており、財政的な余裕はあまりない。被災者の全ての要望を満足できる状況ではない。できることとできないことを明確にして、出来ないことはできるだけ速やかに丁寧に国民に説明して納得してもらわないといけない。プログラムマネジャーはP2Mでいうスコープマネジメントの中で、“実行できること”と“実行不可能なこと”を勇気を持って明確にすることが急務である。ともかくスコープが決まらないとプログラムマネジャーは責任を持って一歩も前に進めない。

繰り返しになるが、私の言いたいことは、一言で言うと、内閣総理大臣は、この国難を救うために、日本国民や世界の人々に、 “使命達成型のプログラムマネジャーを任命し、日本の英知を集結した最強のプロジェクト体制を構築した”と宣言してほしい。

話は変わるが、日本のマスコミにも一つ注文がある。暗い話ばかりではなく、復興等建設的で前向きな報道もしてもらいたい。マスコミは毎日毎日テレビや新聞を通じて、主に悲惨な被災地の現状を繰り返し報道している。私は気分が落ち込み、憔悴してだんだん気分が悪くなり、遂にはテレビのスイッチを切ってしまう。そして国民はだんだん意気消沈してしまう。
逆に、もっと未来に希望が持てる明るい話題を放送してほしい。また自衛隊、消防、米軍などの外国からの支援部隊の必死の救援活動はあまり報道していない。彼らは黙々と命をかけて使命を達成しており、私たちはその行動にもっと真摯に感謝しなければいけない。彼らの職業意識・使命感をもっとテレビや新聞で真摯に報道してもらえば視聴者も元気が出てくるし、国民の間の連帯意識も高まると思われる。

政府には、もっと頑張ってもらわないといけませんが、そうはいっても政府ができることには限界がある。私達国民は、あまり国に依存するのではなく、自助努力することも大事である。

各国にはこのような国難に際して様々な「スピーチやことわざ」が伝えられている。

一つは ケネディ大統領のスピーチである。
1961年1月20日、彼は就任演説で以下のように名演説をして、国民の心を鼓舞している。 And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you – ask what you can do for your country.
My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man. ですから、私の仲間であるアメリカ国民である皆さん:/尋ねないで下さい/国があなたのために何をしてくれるかを/尋ねて下さいあなたが国のために何ができるかを。
私の仲間である世界の皆さん:/尋ねないで下さい/アメリカがあなたのために何をするかを/そうではなくて何を一緒に私達ができるかを/人類の自由のために。
二つ目は中国のことわざである 5千年の歴史がある中国には、このような様々な困難な時期にあたり連帯の重要性と強靱な意志の強さを表現することわざが無数に用意されている。私の知見は不足しており、もっとよいことわざもあると思われるが、ここでは下記に2つほど挙げておく。「愚公移山」のように常識にとらわれず、発想を変えて少し馬鹿になることも必要かもしれない。

 

四海兄弟(しかいけいてい) sìhâixiōngdì
真心と礼儀を尽くして他者に交われば、人々はみな兄弟のように心から協力しあえる
愚公移山(愚公山を移す) yúgōng yìshān
人になんと言われようと、どんな難事でも、志をもって専念して努力すれば可能となる

 私の語彙不足を指摘して、中国の友人が「中国の諺はもっとあるよ」と教えてくれたので下記に追加記述する。
 やはり中国には‘元気が出る言葉のビタミン剤’がたくさんありそうだ。

自强不息  zìqiâng bùxī
自强:自分が上を向いて日々努力する;不息:停止はしない。
それぞれの人々が個々上を向いて、絶えず努力する精神を表現、この精神は国を強くする
不屈不挠  bùqū bùnáo
屈:屈する;挠:曲がる。困難に負けない、屈まない。強く生きる
患難与共  huànnàn yùgòng
危険と困難を共に担い、お互いの立場、そして利害関係は同じである
休戚相关 xiūqī xiàngguān
休:喜び・祝い、 戚:悲哀、憂愁、
喜びと憂愁、幸せと不幸は密接な関係があることで、お互いの利害関係の密接を表現している

最後に、我々日本人が示している勇気と決意を世界中が心配しながら見守ってくれている。日本政府を支援して、私たちは力を合わせてこの国難を乗り越えよう!

以上

 

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